エッセイ

恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行

シンガポールの歴史がわかるカルチャーイベント盛ん!日本と現地で潜入してみました

今年2025年8月9日、シンガポールは建国60周年を迎えました。建国記念日のことは昨年も、このエッセイで書いていますね。
“60周年”という区切りのよい年でもあるので、街は一層華やかになり、「SG60」という愛称でシンガポールの建国をお祝いした企画やイベントが多く企画されていました。そこで今回は、私が体験してきた記念のイベントをご紹介しましょう。

東京国際映画祭に出品「コピティアムの日々」

まずは日本。10月27日から11月5日まで東京・日比谷を中心に行われていた「東京国際映画祭」。世界各国から映画作品が集まり上映されました。
毎年人気のある映画祭で、レッドカーペットを歩く俳優陣の様子をテレビでも見たことがあるのではないでしょうか。この映画祭で「コピティアムの日々」というシンガポール映画が上映されたのですが、この作品も「SG60」記念として製作されたものでした。

6本のオムニバス作品で、シンガポールの過去、現在、未来を描いたものです。中国系、マレー系、インド系と、多民族国家シンガポールならではの民族それぞれの特徴をいかした感性豊かな作品ばかりでした。どの作品にも共通して劇中には、ある実在するコピティアム(喫茶店)が登場します。それが、【シンガポールのレトロ喫茶を体験!現地の「コピ&カヤトースト」】 の回でご紹介した「協勝隆(ヒープセンリョン)」でした。

たまたま予定が重なり、映画祭で「コピティアムの日々」を鑑賞した翌日にシンガポールに来た私は、さっそく撮影場所となった「協勝隆」を訪れました。そこには、なんと映画のポスターが貼られていたのです。

あー!映画の興奮がよみがえってきます。オムニバス作品のひとつには、コピティアムで朝早くから働く両親が、毎朝店の電話から娘にモーニングコールするシーンが出てきます。実際にお店にも同じ型の電話があるのですが、これは映画に使用した電話かしら?思わず映画の世界へとタイムスリップした気分です。

名物のココナッツミルクで作るカヤジャムを挟んだカヤトーストとエバミルク入りのコーヒー(コピC)で映画のシーンを思い出しながらゆっくりいただきました。

食文化を代表するコピティアムの博物館

シンガポールのコピティアムは、シンガポールを代表する食文化のひとつなので、60周年記念にコピティアムをテーマとしたものが多くありました。映画もそのひとつですが、コピティアムの歴史を知るための施設が「SG60」をきっかけに始動しました。

ここは、シンガポールでも繁華街から外れた場所にある「Singapore Coffeeshop Heritage Gallery(シンガポール コーヒーショップ ヘリテージ ギャラリー」です。中国・潮州(現在の広東省にある都市)にルーツをもつ移民者が所有するビルの一室にあります。
中には、同じルーツをもつコピティアムを再現した作業台やテーブルが並んでいます。そして、コピティアムの歴史の展示も。これはすごく興味深いです。
コピティアムのメニューは、コーヒーとトーストと温泉卵が定番ですが、それはイギリス植民地時代に広まった西洋の食文化がきっかけでした。19世紀後半から20世紀にかけてシンガポールに移民した華僑によって、天秤棒を担いだり、台車屋台を作ったりして街を歩き回り商売をしていたのです。

現在シンガポールで暮らす潮州人たちは、自分たちのルーツやコピティアム文化を大切に思い、資金を出し合って今年このギャラリーを常設施設としてスタートさせました。まるで本物のお店のように見える展示のコーヒーを入れる道具を使って写真撮影(動画は禁止)するのも楽しいですよ。施設は無料で見学することができます。

シンガポール60年ポップカルチャーを知る

最後はこちら。シンガポールを代表する歌手ディック・リーをご存じでしょうか。1990年に日本デビューも果たしたアジアの大スターです。その彼がプロデュースした「Singa Pop!」というシンガポールのカルチャー文化60年を振り返る没入型の展示イベントが、インフィニティプールで有名なマリーナ・ベイ・サンズにあるアートサイエンスミュージアムで開催中です(年内12/28まで)。

それぞれのテーマに分かれたフロアには、マレーシアからの独立当初から現在までの歴史を振り返り、カルチャーの軌跡を知ることができました。シンガポールのことを知らないと、何のことかわからない展示になってしまいますが、ディック・リーは以前放送されていた日本の教養番組「ポンキッキーズ」にも出演経験があり、歌でも自動車会社のCM曲として流れていたことがあるので、もしかしたら思い出す人がいるかもしれませんね。実際にディック・リーの曲が入ったジュークボックスでは、来場者たちが自分たちの思い出の曲を流しては歌って楽しんでいました。

中には、私が毎年楽しみにしている建国記念日のイベントであるナショナルデーパレードの昔のVTRや記念品の展示があり、大変興味深いものがありました。昔の記念グッズもよく保存されていたなと感心します。

さらに、フードエリアでは、趣のあるシンガポール料理屋台の再現があり、チキンライスやコーヒーを売るコピティアムもありました。フォトスポットとしても楽しい場所でしたが、よく見るとゲームになっていて、焼き鳥のサテをうまく焼くとポイントアップ!といったゲームがありました。私もトライしてみましたが、これがなかなか難しい。サテはうちわであおがないといけなかったらしく、ゲームの映像上でですが煙だらけになってしまいました。

最後には、テレビドラマや映画の歴史を知ることができる映像もあり、日本でも上映されたことのある映画も登場していました。この展示は、私自身も楽しむことができましたが、やはり、60年の歴史を振り返ることできるとあって、来場者の人たちのリアクションを見ているのが楽しかったです。懐かしさと新鮮さがあり、若い人たちは初めて見る昔の映像にびっくりしたでしょうね。

日本でも「昭和100年」、「終戦から80年」というように、区切りの年は特に大掛かりな特集を何らかの形で行いますよね。その頃の時代があったから今がある、改めて歴史の深さを感じるように、今回の私のシンガポール旅もより心に刻まれるものになりました。

プロフィール

伊能すみ子

アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。

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