エッセイ

世界の地元メシ

パイナップルのジュース

暑いですね。この記事を書いてるくらいの時期を、盛夏というようですが、今年はもう「夏を盛っている」という意味での盛夏ですな。

夏の食べ物といえばスイカやパイナップルですが、今年はパイナップルをたくさん食べております。はじめのころは、スーパーでカットしてあるものを買っていたんだけど、食べる速度に間に合わないので、丸ごと買って自分でカットしたものを冷蔵庫に保管しております。

それで、カットしているときに思い出すのが、パイナップルのジュース。ドミニカ共和国にいるときに教わったもので、こういう使い方が南米で主流なのかは知らないけれども、私が仲良くしていたファミリーたちはこういう使い方をしていた。

まず、縦に1/4にカットしたパイナップルの芯の部分は、子供たちのおやつとして、取り合いになります。日本だと捨てていると言ったら、そこにいた20人くらいにビックリされ、そして何となく怒ってるのが伝わってくるくらい、食べるのが普通の部分らしい。

多分、完熟したものしか売っていないから、真ん中のところも柔らかくて、色も濃い蜜色をしているので、甘いのだと思う。子供たちに取られて一回も食べてないから知らんけど。

それで、普通に食べる身の部分を取ったら、パイナップルの皮が残るでしょ。あれを、鍋にバンバン放り込んで水で煮出してパイナップルジュースを作るの。

一個なら小鍋、たくさん切ったら大鍋という風に使い分けて、かぶるくらいの水をいれ、20分くらい火を通してそのまま冷ますと、あらビックリ、パイナップルジュースの出来上がり。

ちゃんとパイナップルの味と香りがして、うっすら甘くて美味しい飲み物です。砂糖を入れて煮詰めるという方法もあるそうだが、ほぼ毎日パイナップルの皮が誕生するので、そこまで凝ったことはしていないみたい。

冷ましたものを冷蔵庫で冷やしておくと、日本における夏の麦茶的な立ち位置の飲み物になり、料理のときに肉を柔らかくするのにも使える。家族の多い家は、作ったジュースをペットボトルに詰めて、巨大冷凍庫にガンガン並べていたな。

化粧水としても使えると言われたんだけど、それは遠慮しておいた。でも、むかし、パイナップル豆乳化粧水なんてものが流行った時期もあったわけだから、何かしらの美容効果はあるのだと思う。

ちなみに、煮出したパイナップルの皮はよれよれになっているので、庭に埋めてたい肥として使っているおうちが何軒かあったな。温かい場所だからすぐに自然に返るだろうし、ゴミ袋で出しても、清掃車が来るかわからないので、庭の方が信用できると言っていた。

夜になると近所のファミリーと集まって、サルサパーティーが開かれることが、ほぼ日常なんだけれども。その時に、冷えた自家製パイナップルジュースにラムを入れてライムを絞り、庭に生えてるミントを枝ごとぶっこんだ、アナナスモヒート(って彼らは言っていた)を飲みながら、毎晩踊り狂ったあの日が、昨日のことのようだ。

日本も、夏の間くらい、毎晩どっかでミニ盆踊りやってくれないかなあ………。

プロフィール

ほしのしょうこ

25年ほど雑誌・WEBマガジンなどで記事を書き散らしているフリーライター。 副業でWEBデザイナー崩れもしている。趣味は散歩と仕事。重度の放浪癖があり世界を鞄一つで浪漫飛行していた。現在は頑張って日本に定住中。

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