エッセイ

恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行

麺をすすれない?!今すぐ食べたいアジアの麺料理

最近、スーパーやコンビニで見かける食品に、アジア料理が増えてきたなって感じませんか?マッサマンカレーやパクチーブームをきっかけに、アジアの食の中でも麺に注目が集まっています。タイの「パクチー麺」やベトナムのインスタント麺「フォー」、ココナッツミルク味の「シンガポールラクサヌードル」といったアジア麺も発売されています。この一年はまさに“アジア麺ブーム”といえるでしょう。今まで専門店でしか食べたことのなかった人も、気軽に食べることができるようになってきました。

日本同様にアジア各国には、様々な麺料理があります。小麦麺だけではなく、米粉麺を使用したスープ麺や焼きそば風麺料理など、レパートリーは無限大です。日本では、蕎麦やうどんなど、麺の香りを楽しみながらすするのが醍醐味ですが、アジア麺の食べ方は意表をつかれますよ。今注目の麺料理やこれからブーム到来かも?の麺料理をご紹介します。

【シンガポール/シンガポールラクサ】
日清食品から発売されたインスタント麺「シンガポールラクサヌードル」の元祖がこの麺です。あえて“シンガポール”と銘打っているのは、シンガポールやマレーシアの各地域に味わいや特徴の違うラクサがあるので、地名をつけて郷土色をだしています。

スープはココナッツミルクをベースに、エビをはじめとする海鮮出汁です。スパイシーなカレー風味が加わって、ふんわり鼻孔を擽ります。びっくりしたのがブチブチと切れた麺!レンゲですくって食べるのが基本というだけに、あまりの短さに笑っちゃいました。日本人としては、麺をすすれないのがもどかしいところですね。具材は蒸しエビやモヤシ、厚揚げ、さらに“ラクサリーフ”という日本ではお目にかかれないハーブが必須です。お好みでチリペーストを溶かして食べると、スープの甘味と辛みがバランスの良い味に変化します。米粉麺がするりと口の中に飛び込んでくるので、さらっと食べられますよ。

【タイ/パッタイ】
タイ料理レストランで食べたことのある人もいるのでは?米粉麺のタイ版焼きそばです。タイ語で、パッ=炒める、タイ=タイ王国、という意味です。料理名が表すように、タイ全土で愛されている国民食といえるでしょう。

“センレック”という平たい細麺を使用するのが主流で、若干ですが麺は短めです。タイは、甘味、酸味、辛味の三位一体の味付けがおいしさの秘訣です。その中でもパッタイは、パームシュガー(椰子砂糖)の甘味とタマリンド(マメ科の酸味ある果実)やナンプラー(魚醤)の酸味がポイント。添えられたチリパウダーと“マナオ”という柑橘を絞ると味が完成され、さらに食欲をそそります。モヤシやニラのシャキシャキ感もたまりません。店によっては野菜を生のまま添えていて、箸休め的役割を果たしています。日本のスーパーでも麺とタレがセットになった商品を見かけるようになったので作ってみては?

【台湾/麺線】
台湾のソウルフードともいえる麺線は、日本人になじみやすい麺料理かもしれません。まさに手延べそうめんです。機械化が進む台湾ですが、一部の工場では日本と同様に手作業で麺を伸ばして、天日干ししています。

初めて食べた時は衝撃を受けました。見事なまでのカツオ出汁!思いっきり香りを吸い込みたくなります。こちらも箸ではなくレンゲで食べる短い麺です。一度蒸すことで、麺が茶色くなるのが特徴的。濃厚なトロミがあり、食べるスープのような感覚にもなります。これは日本の寒い冬にもぴったりでしょう。豚モツが入っているのが定番ですが、店舗によっては牡蠣入り麺線もあります。屋台料理が連なる夜市でも定番のメニューなだけに、現地での人気は絶大です。日本では台湾料理店をはじめ、専門店がオープンするほど注目の麺料理となっています。

実は、東南アジアをはじめ多くの国では、日本のように音を立てて食べるのはマナー違反とされています。麺をすするのは意外にも難しいようで、短い麺の方が食べやすいというのも納得ですね。

プロフィール

伊能すみ子

アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。

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