エッセイ

台所から旬だより

秋の土用の過ごし方 ~実りの秋の栗仕事~

このエッセイが公開される頃はちょうど「秋の土用(10月20日~11月7日)」にあたります。
前回の記事でも触れましたが、土用期間とは「春夏秋冬」の間にある「18日間」のこと。
季節の変わり目である土用期間は、体調不良を起こしやすいものですが、その他にも不安感や焦燥感が募ったり、ストレスを感じやすくなったりと精神面にも不調が現れやすくなります。
そういえば、「五月病」や「季節性うつ」などは土用期間と合致しているように思えます。

そんな様々な不調が現れやすい土用期間、一体どのように過ごせば心身ともに健やかでいられるのでしょうか?

土用期間は「とにかく体と心をのんびりゆったりとさせる」ことが大事と言えます。
昔から「土用期間は土に触れてはいけない」と言われていて、農耕を休むためにこの時期に「お祭り」が行われてきました。
つまり土用期間の過ごし方としてベストなのは「仕事を休んでのんびり過ごす」というわけなのですが…。
現代社会に生きる私たちが「土用期間だから仕事は休みます!」なんてできませんよね。
でも、「仕事を休む」ことはできなくても、普段よりほんのちょっとだけ「生活のペース」を落とすことはできるのではないでしょうか。

また、体調を崩しやすい土用期間は「胃腸を丈夫にし、消化吸収を高めるような食事を摂る」ことも大事です。
薬膳的にみて、どんな食材がよいのかと言うと…。
お米や雑穀などの穀類、豆類、いも類、きのこ類、かぶや大根などの根菜類、栗など。
どれも秋に収穫シーズンを迎えるもので「食欲の秋」にふさわしいおいしいものばかり!
その中で今回特におすすめしたい食材は「胃腸を丈夫にし、血行をよくする」という働きを持つ「栗」です。

初夏の楽しみが梅酒や梅干し作りなどの「梅仕事」だとすると、実りの秋の楽しみは、渋皮煮や甘露煮作りなどの「栗仕事」ではないでしょうか。
渋皮煮や甘露煮作りは、ちょっと手間がかかるものではありますが、限られた時期にだけ出回る栗を調理することは、旬の食材が持つ大地のエネルギーに触れる貴重なチャンス!

そうそう、薬膳には「食材はなるべく丸ごと食べた方がよい」という考え方があります。
野菜だったら皮ごと、小麦だったら全粒粉、お米だったら玄米や分づき米や胚芽米、小魚だったら頭から尻尾、そして骨まで丸ごと!
このように「丸ごと全部食べる」ことにより、その食材が持つパワーをすべて吸収できるというわけなのです。
栗の場合、さすがに鬼皮は食べられませんが、渋皮煮でしたら「皮ごと」おいしく食べられます。

何かと不調が現れやすい秋の土用期間、日々の生活をスローダウンさせて、のんびりゆったりと「栗仕事」なんていかがでしょうか?

プロフィール

高倉知子

薬膳GOHAN主宰 薬膳料理講師/東洋運命学鑑定師。2006年に国際中医師に師事。2008年に中医薬膳営養師の資格を取得。マンツーマン料理レッスン「薬膳GOHAN(旧:楽しく薬膳)」を主宰し、カウンセリングによる薬膳アドバイス、マンツーマン&少人数制の出張レッスン、薬膳料理代行、薬膳イベントやセミナー講師、レシピ提供やエッセイ寄稿など、心と体、暮らしを整えるための薬膳料理講師として 幅広く活動中。 また、陰陽五行説で薬膳とつながっている九星気学を扱う東洋運命学の鑑定師に師事。2014年より九星気学をベースとした東洋運命学のカウンセリングや講座なども行っている。

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