エッセイ

47のシアワセを追いかけて

さわやかなずんだ色の風が吹き抜ける~!?仙台の旅

仙台は二度目。前回は5年前、七夕祭りに合わせて現地に住む友人を訪ね、牛タンやずんだもちをたらふく食べて、夜は繁華街の国分町へ。翌日は奥の松島を船でめぐるという定番コース。仙台の中心街は歩いても歩いてもさまざまな意匠をこらした七夕飾りがあらわれて、ただただ感心したものでした。杜の都・仙台は緑豊かで、とても気持ちのいい街です。

その翌年に3.11。その友人にメールをしても、なかなか返事が来なくて気をもんだことを思い出します。しばらくして友人は元気とわかりほっとしたものの、私のほうが広告系のお仕事がぱたりとやみ、暇をもてあましてニュースばかり見ていましたっけ。

4月の韓国の沈没船の事故直後で、思い出したのはこの頃のことでした。私だけでしょうか。生存者はいるのか、これからどうなるのかとむさぼるように情報を求めるあの感じ。それ以前には戻れないという断絶感。それでも人には生活があり、振り子の揺れは少しずつ収束に向かい、前を向くしかないと気づかされる…。

新緑と松島さて今回、縁あって仙台に。すぐに心に浮かんだのは、奇岩や小島が点在し、日本三景のひとつにも数えられる松島の絶景でした。震災で大きな被害は出なかったとはあったものの、ほんとうにそうだろうか…と若干心配しつつかの地へ降り立ちました。

松島海岸駅から瑞泉寺に五大堂。5年前と全然変わっていないなあ、とほっとした気持ちで海沿いを歩いていくと…やっぱりありました。「津波がここまできました」の表示。そのラインは、身長157㎝の私が少し見上げる高さです。身の丈よりも高い津波って…!? 

いろんな思いをめぐらせながら通りかかった橋の欄干に一羽のカモメが。これはシャッターチャンス!とばかり激写。そろりそろりとにじり寄りながら一枚、また一枚。あれっ、キミ逃げないの?

結局1mの距離まで近づいたとき、頭に浮かんだのはこんな一節。「♪ハーバーライトがぁ~朝日にぃ変わるぅ~」 ああ、もう止まりません。

そこからエンドレス。「♪時はぁ~めぐりぃ~また夏がきて~」 やっぱり仙台は、青葉城にたたずむあの人あってこそ。

「♪とんでとんでとんでぇ…」 あれ、これは関係ないよね?

いきなり始まった懐メロ祭り。仙台駅に戻って、牛タンに舌鼓を打ち、帰りのはやぶさに乗っても、一人ジュークボックス、もとい自動iPod状態が続きます。ピンクレディに松田聖子。21世紀のメロディは出てこないのね。

一人旅なんて、そんなもんです?

プロフィール

杉浦美佐緒

愛知県出身。カメラマン・編集者を経てフリーライター。旅をはじめ、美容・健康・癒し・ライフスタイル全般を幅広く手がける。好きな食べ物は熊本の馬肉、京都のサバ寿司、仙台のずんだもち。憧れの旅人は星野道夫。旅のBGMは奥田民生の「さすらい」~♪

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