エッセイ

47のシアワセを追いかけて

「神話の世界が息づく高千穂の旅」前編

2、「第二歩・神話の世界が息づく高千穂の旅」前編

夏といえば、「おーい、お茶」のあのCM。ボートが浮かぶ渓流に切り立った崖が迫り、滝のしぶきとともに青い空が輝いて…。あの映像はとっても鮮烈だった。どこかなあ、行ってみたいなあ、とずっと思っていた。

その後、あれが宮崎・高千穂の「真名井の滝」というところで、日本の滝百選の中でも人気のスポットだと知り、私のなかの旅の虫がムズムズした。

もう、行くしかない♪

高千穂は「天孫降臨」の地と言われるところ。古事記って知ってるようで知らないと思いませんか?

天孫降臨っていうのは、天照大神の孫にあたるニニギノミコトが、人々が住む地上の世界“葦原の中つ国”を治めるように命じられて降り立ったこと。それが高千穂だったと言われているのです。(なんか『ロードオブザリング』みたい?)

神話の世界は知れば知るほどおもしろい。神様たちは結構人間くさいのだ。有名な天照大神が弟のスサノオノミコトの乱暴ぶりを嘆いて閉じこもったのに、みんなが自分を心配するどころか楽しそうに宴会をしてると、気になってつい扉を開けてしまった有名な話や、ニニギノミコトが妊娠した奥さんに向かって「本当にオレの子?」と言った話や…。

おっと、長々と説明しているうちに、飛行機は熊本空港へ到着しました。そこからはバスで山間をひたすら2時間。バスを降り、目的地の高千穂峡までは徒歩で2、30分というところ。真夏の炎天下でしたがタクシー代をケチり、CMの涼しげな映像を思い浮かべてひたすらガマン、ガマン…。

目的の滝までは、うねうねとまがりくねった坂道を下りていきます。いたるところで岩の間から清水が湧き、滝が流れて心まで洗われるよう。ボート乗り場の手前にある「おのころ池」では、澄んだ水のなかをヤマメが一匹優雅に身をくねらせていました。うーん、きれい。期待は高まる一方です。

私のミッションはこれぞ高千穂!という至高の一枚をカメラにおさめること。とはいえ、車さえペーパーの私、手漕ぎボートに一人で乗るかどうかは直前まで迷っていました。意気揚々とボート乗り場までおりていったものの…

あれ~、渓流にロープが張ってある。ボート小屋の屋根が邪魔。どうする、杉浦!

うだうだ迷っているうちに「写真撮ってもらえませんか?」と頼まれて、家族連れの記念写真のシャッターを押しているワタシ…。何しにきたんだ!

飛行機、バスを乗りついではるばる遠方からやってきたのに、私を迷わせたのはたった一枚の張り紙。

「30分2千円」。

これってどうなの?(後編へ続く!)

プロフィール

杉浦美佐緒

愛知県出身。カメラマン・編集者を経てフリーライター。旅をはじめ、美容・健康・癒し・ライフスタイル全般を幅広く手がける。好きな食べ物は熊本の馬肉、京都のサバ寿司、仙台のずんだもち。憧れの旅人は星野道夫。旅のBGMは奥田民生の「さすらい」~♪

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