恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行
日本で唯一?この冬食べたい「中国のハワイ」海南島の名物ココナッツ鶏鍋
あんなに暑かった終わらない夏が終わろうとしています。近年の暑さは体に堪えましたね。やっと冬グルメを楽しめる季節到来です!
そこで、今回はこの冬食べたい珍しい鍋料理をご紹介します。エスニック料理好きな私がご紹介するので、普通の鍋ではないことはご了承くださいね。でもおいしさは抜群です!
絶品!ココナッツウォーターで作る鶏のエキスたっぷり鍋
訪れたのは東京・荒川区。JR日暮里駅から生地問屋街を抜けてしばらく歩いた尾竹橋通りにある「南国の味 勝生」です。日暮里駅からは徒歩10分ほどですが、常磐線三島駅が最寄り駅となります。
こちら和食居酒屋のようにみえますが、中華料理を数多く揃える中華居酒屋です。店内の壁には、ヤシと海の南国の風景写真が大きく掲げられていました。
皆さんは、海南島という中国の南部にある島をご存じでしょうか。九州よりひと回り小さい面積の南シナ海にある海南省の島です。温暖な気候からリゾート地として人気で「中国のハワイ」とも呼ばれています。
私もいつか行ってみたいと思う場所のひとつなのですが、そんな南国の海南料理が食べられるのが「勝生」なのです。現地ではたくさんのココナッツが栽培されていて、若くて新鮮なココナッツを使ったココナッツ鍋が名物となっています。
みてください!鍋の中には透明な液体が!これがココナッツの中に入っている液体のココナッツウォーターです。そこにココナッツの白い胚乳部分のスライス、ナツメ、クコの実が入っています。私が注文したのは鍋のベースとなる「ココナッツ鍋」(1100円)、京都産のブランド鶏肉「京紅地鶏450g」(2420円)、トウモロコシ(220円)、中国の湯葉「腐竹」(220円)です。鶏肉には野菜が含まれています。なんと鶏肉の骨を入れる器もココナッツの殻からできたものでした。
ココナッツウォーターって飲んだことのない人の方が多いだろうし、それが鍋のスープとして具材を入れて食べるのだから驚きですよね。
ココナッツウォーターが沸騰したら鶏肉を入れて、砂時計で2回転すると約6分で食べごろです。ココナッツウォーターに熱が入ると、さらにココナッツの香りが広がっていい香り。鶏肉は骨付きで、うまみがたっぷりスープにしみ出します。意外に火の通りが早いですね。
タレは、醤油にニンニク、香菜、生姜、唐辛子、柑橘(中国の)をお好みで合わせていきます。鶏肉ととっても合いますね。家でもこのタレやってみたいです。箸でつかんでいる白いのがココナッツの果肉です。シャキとした食感でココナッツの甘い風味が広がります。
この量を私は2回に分けて食べたのですが、スープの出汁の変化がすごかったです。ココナッツの自然な甘みが濃くなって、鶏肉の脂と交わって、うまみが爆発して口の中に飛びこんできます。でも、決して豚骨のような男性らしさのあるガッツリではなく、女性のようなやさしさもあるほっこり感があるのです。
さらに、具材でびっくりしたのがトウモロコシです。アジア諸国って鍋やスープにトウモロコシが入っているので選んだのですが、これが初めての味でした。なじみがある見た目ですが、実は噛むとモッチモチなのです。お米にもうるち米ともち米の違いがありますが、そんなイメージです。さっぱりジューシーなスイートコーンとは全然違いました。中国産とのことですが、これは普段からも食べたくなりました。
注文した具材が少なかったこともあり、スープの量が多くなってしまったのですが、飲むたびにおいしいスープに変化していったので飲み干してしまいました。あまりにも夢中で食べていて、〆に麺もあったのにすっかり忘れてしまったくらいです。
今回、鶏肉は京都産を選びましたが、名古屋コーチンも選べますし、国産鶏のリーズナブルな鍋もありますよ。具材の種類も豊富なので、お好みで選んでみてくださいね。鍋の他にも、白切鶏(茹で鶏)や蒸し魚など、海南島の料理やエビチリや上海焼きそばなど、定番の中華料理もありますよ。
日本でも、ココナッツ鍋が食べられるのはとても貴重なので、ぜひ未知なる味を体験してみてくださいね。
- 南国の味 勝生
東京都荒川区東日暮里6-6-7
03-3805-8187
ランチ11:30~15:00、ディナー17:00 ~ 22:30
ホームページ
※店舗の情報は掲載当時のものです。
プロフィール
伊能すみ子
アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。