エッセイ

世界の地元メシ

ハワイの無限∞カルビ弁当

今年のGWは、コロナのリベンジトラベルということで、結構な人数がハワイに押しかけたらしい。私の友人も数人、数年ぶりにハワイに行けた!と喜んでいた。

聞いた話によれば、コロナで数年間も観光がさびれたことと円安が相まって、現地での食事代がすごかったらしい。ハンバーガーが1つで2,400円くらいしたとか。

東京の六本木あたりだと、たまにそんな和牛バーガーの店に出くわすこともあるけど、アメリカだからね。日本だと、鮭おにぎり一個で1,500円みたいなもんだろう。

ハンバーガーとコーラとポテトかサラダにTAXで5,000円っていうんだから、どこのセレブの食卓だって感じだけど、普通の食事の話。なんだか、心の中でハワイが遠くに行ってしまった感じでさみしかった。

で。

昔、ハワイにしばらく滞在していたことを思い出した(この記事を書くまで忘れていた)。特にあてもなくハワイに来て毎日プラプラしていたら、知り合いから、ルームシェアを探してる子がいるよと紹介された。

会ってみたら気が合いそうだったので、ワイキキビーチが真下に見えるマンションで8ヶ月ほどルームシェアをすることになった。

ルームメイトには家賃の都合があるらしく、「絶対に、絶対に8ヶ月はいてね」ということだったのでそんな期間になった。

私は基本、世界のどこの国に住んでもスーパー探して自炊派なんだけど、アメリカっていうのは食材に力がないというか、基本的になんでも大味なので、あれこれ作るよりお弁当系を買う方が美味しかったりする。

いわゆる日本のお弁当に相当するものは、東南アジア系か中国・韓国系のものが多く、中でも、際立って美味しいのが韓国焼肉系の弁当、っていうか、もう、ズバリ、骨付きのカルビ弁当が一番うまい。

これが骨付きカルビ みんなの想像する3倍くらいの量がある

分量がアメリカサイズなので、Mサイズでもアジアンだと2回分くらいに分けて食べられるから、コスパも良いので、よくルームメイトとシェアしてた。

最初は亀マークのホテル(シェラトン)近くにあるフードコートまで歩いて買いに行ってたんだけど、風のウワサで「キムチ専門店の弁当がうまい」ってのを聞いて、ルームメイトとあっちこっち探し回ったら、ウォルマートの駐車場裏あたりに小さいお店があった。

自家製のキムチ漬けを売ってるコリアンのお店なんだけど、気まぐれのようにお弁当を売ってることがある。

カルビは甘めの味付けだけど、キムチが本気なので、ごはん→焼肉→キムチの順番で無限に食べられる美味しさだった。

ただ、フードコートのに比べると弁当箱が小さめなので、アジアンにとっての1人分より少な目。これではちょっと足りないので、キムチ類を追加で買うことになる、というのが店側の販促作戦のようだ。

何回かその作戦に乗ってみたのだが、いかんせんコスパが悪い。そこで、ルームメイトと考え出したのが、ここでキムチのみを買い、フードコートでLサイズのお持ち帰りをシェアというアイデア。

題して「無限∞カルビ弁当本気キムチ作戦」。この作戦名の本気は「マジ」と読みます。サイズがMからLになったのは、キムチ用に白飯が必要だからですな。

当時、お弁当が普通サイズで3.4ドル、Lサイズで5ドルくらいだったから、シェアした1人分の夕食がキムチを入れても3ドルってことで、「私たち天才!」「この作戦、成功!」って、ハイタッチして浮かれていた。

っていう話が、まるで夢物語のようだよね、今のハワイ………。

未だ、この無限∞カルビ弁当に匹敵するようなカルビ弁当って出会ったことがないのだけども、あれは、ハワイという場所や、他に特にうまいもんがないからかもしれない。

JR新大久保駅を降りて、駅を背にして左側に向かって歩くと、昔のタバコを売るようなスペースでカルビ弁当を売ってる店が何軒もあるので、それなりに満足度の高いカルビ弁当に出会えます。けど、新大久保まで来たなら、普通に焼き肉食べたほうがハッピーかも。

ちなみに、ハワイだとカルビでは通じなくて、バーベキュープレートのビーフって言うことを知らずに、「カルビ!」「KA・RU・BI]「か~るぅ~びいいいい?」と発音をいろいろと変化させながらオーダーしたのは、きっと、私だけではないはず。

プロフィール

ほしのしょうこ

25年ほど雑誌・WEBマガジンなどで記事を書き散らしているフリーライター。 副業でWEBデザイナー崩れもしている。趣味は散歩と仕事。重度の放浪癖があり世界を鞄一つで浪漫飛行していた。現在は頑張って日本に定住中。

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