ポレンタっていう食べ物がある。とうもろこし粉をお湯やコンソメなんかで練りねりして作る、イタリアの蕎麦がきみたいな食べ物です。昔はパンの代わりだったらしいけど、今ではお肉なんかの付け合わせに出てくる。

家庭やお店によって、全然入っているものが違うことがあり、食べていて最後までポレンタだと気が付かないことがあるが、たいてい美味しい。特に、味のついているポレンタは、日本でいう美味しく炊けたお麩みたいな感じで、付け合わせ以上だったりするんだよね。

でも日本人には舌触りが粒つぶしていてあまり人気がないらしく、国内のイタリア料理レストランに行っても、滅多にお目にかからない、幻のつけあわせです。

そんなポレンタを、なぜ思い出したかというと、マンガ本の整理をしようとして「のだめカンタービレ」を読みふけっていたときに、ねずの実風味のポレンタを食べて千秋先輩が感動しているシーンがあり、それを読みながら「あ、あったね、こういう食べ物」となったのであった。※のだめカンタービレ18巻

最初にポレンタを食べたのは、オランダからプチ留学に来た友人が、ローマ市内でホームステイしているとこに遊びに行って、そこで食べたと思う。その時は、ナスとパプリカのフライみたいなものが混ざったポレンタで（今思うと、ラタトゥイユみたいなもんが混ざっていた）、オリーブオイルたっぷり吸ったナスが、コンソメ+トマト味のポレンタにはさまれていたので、てっきり野菜のテリーヌみたいなものだと思って食べていた。
「美味しいね、このテリーヌ」
「それ、ポレンタよ」
ってなって、ポレンタという存在を30代ではじめて知ったのだった。ポレンタは鍋一杯に作って、残ったらタッパーでパンみたいに整形して冷凍し、食べるときに薄切りにして使うんだそうな。

私が食べたのは、薄切りポレンタの間に、ラタトゥイユを挟んで味をしみ込ませたものだったというわけ。私としては、結構、感動したっていうか………そんな手の込んだ料理だと思ってなくて、お店で買ってきたんだろうと思っていたので、家庭料理であることにびっくりした。つまり、そのくらい、プロっぽい味だったのです。

これから夏野菜たくさん出てくるから、ラタトゥイユを鍋一杯に作って、ポレンタを作って、懐かしいローマのママンっぽい味を再現しようと思う。レシピは以下の感じ。

ポレンタ、意外とカンタンにできるでしょ？

料理というよりも力仕事なので、体力さえあればできるから、暇なときに作っておいて冷凍しておくと、パンとしても食べられるし、スープに入れるとパン粥みたいになるしで便利。

お邪魔した家のママンは、沸騰したチキンスープでやっていましたね。味がつくから使い方は限定されてくるけど、テリーヌ風の上からホイップしたクリームチーズかけたり、チキンスープのゼラチンをのせたり、チーズとトマトソースでラザニアみたいにしたりと、ちょっと高級な感じのポレンタレシピを教えてもらいました。（ああ、もちろん、ベランダから引きちぎってきたバジルを散らすのは忘れないように）

さて、そうは言っても食ったこともない、美味しいかもわからんものに、鍋の前で30分も拘束されて、右腕が筋肉痛になって、鍋底の焦げ付きに悩むのは嫌だというそこのあなた。

ここのランチで肉か魚の皿のついたメニューをオーダーすれば、びっくりするほど美味しいポレンタがそえられています。心配な人は、予約の時に「ポレンタ食べたい」と伝えておけば、シェフが大喜びで練ねりしてくれます。神楽坂アルベラータ