世界の地元メシ
台湾のダージーパイ
台湾にいたときに、よく食べていた巨大とりの唐揚げ。「大鶏排」と書いて、ダージーパイと読む。夜市の屋台で売ってる、まあ、台湾風フライドチキンみたいな味がする、スナック的な位置づけの、夜中に突然食べたくなるタイプの惣菜なんだけど、これが、まあうまい。
そして、デカい。大きさはどんなに小さくても大人の顔くらいはある。大きい店は、野球のグローブくらいのところもある。一つ700円くらいで、揚げたてを、A4くらいの紙に包んで渡してくれる。
サックサクでスパイシーで、「こんなの食べられるかなあ」なんて言いながら、毎回一人で食べきっていた。あの味が忘れられなくて、日本にいてもよく、発作的に食べたくなって困っていた。
たまに、台湾フェアみたいなのがある時の露店なんかで見かける時があるが、ホントに滅多に出会えない。一時、都内だと浅草あたりに屋台ができたんだけど、2〜3回買いに行っているうちに、すぐに消滅してしまった。
なんでだろう、手間がかかるのかなあ………って謎に思っていたのだが、自分で作って納得した。
自作をしようと思ったのは、もちろん食べたかったからなんだけど、池袋にある中華食材のお店で「大鶏排粉」の文字を発見してしまったから。
裏書きを読んでも全部、中国語かアラビア語(なぜ?)で、作り方が全く分からないが、最近は優秀なグーグル翻訳があるから、と、お店でカメラをかざしてみるとGさん曰く。
「ニワトリをビニールで平らに固定した後、固い棒で撲殺したら1センチが定額になります。スイートポテトに粉を投げつけ、170度の油で苦くしろ」
と、ミッション・インポッシブルされたので、とりあえず、買ってきた。そして、家に帰って、延々と床で鶏肉を撲殺をしていると、一つ下の階に住んでいる中国系のタンさんが「ゴンゴンゴンゴンうるさい!」と怒鳴り込んできた。
この、鶏肉を顔くらいの大きさで、さらに厚さ1センチになるまで叩きのばすのって、難しい上に結構な手間で、途中から、調理台の上では幅が足りなくなるので、床に新聞紙を敷いて叩いていたのね。
なので、実際、相当うるさかったと思う。しかも私、麺棒ないから、トンカチでやってたしな。しかも、鶏肉3枚だし。
「何やってんの?」と聞かれたのでダージーパイ作ってるって言ったら、タンさんはニヤッと笑って、「ああ、そう。じゃあ、あと20分だけ我慢してあげる」とだけ言い残して帰っていった。
伸ばしきったら、買ってきたインスタントの粉を付けて焼くだけなんだけど、この地瓜粉ってのがダージーパイがサクサクになるポイントみたいで、サツマイモではなくキャッサバの粉、つまり、タピオカの粉らしいぞ。
とりあえず、作り方だけ書いておく。
【大鶏排作り方】
材料
- 鶏むね肉300g
- 醤油・酒・みりん各大さじ2
- おろしにんにくとおろしショウガ5gずつ
- 地瓜粉適当(無ければ片栗粉)
- 味付けに、五香粉という中華系コショウがあるとベスト。無ければ、普通のコショウ。
- 鶏肉を顔の大きさ・厚さ1センチまで麺棒で叩きのばしたら、ビニール袋に全調味料を入れてその中に放り込み、ビニール袋に空気を入れて、口をねじってシャカシャカし、30分つけておく。
- 30分経ったら、汁気を丁寧に切り、別のビニール袋に地瓜粉をたっぷり入れて、その中に入れて、やはり空気を入れてシャカシャカする。粉が多いほどサックサク→ザックザク→バッキバキへと変化します。
- 170度の多めの油の中に放り込み、きつね色になるまで焼いて出来上がり。
本体が薄いので火はすぐに通るんだけど、何といっても、デカすぎて端っこまで揚げるのが大変だから、半分に切ったほうが良いと思う。私は3枚、全部揚げてから気が付いたんだけどね。
一番上手に揚がったダージーパイをプリンターに入ってるA4の紙で包んで、さっきのタンさんにおすそ分けしたら、喜んでくれた。五香粉を少し分けてくれたけど、これが手に入らない時は、ラー油かけてもおいしいのだそうだ。
2人で、マンションの階段でダージーパイを手に持って、立ったまま食べながら、美味しい唐揚げ屋の話をしていたんだけど、ふいに「あ、そういえば。ダージーパイ、高田馬場で売ってたわ」って教えてくれた。それはこちら>>>炸鶏排台湾唐揚
よくある台湾系タピオカ屋さんなのだけど、高田馬場の駅前ロータリーから見たときに、みずほ銀行ATMの横にあるからすぐわかると思う。私、この店で、死ぬほどタピオカドリンクを買って飲んでるけど、まさかダージーパイがあるとは思っていなかったよ。
あまり大きくはないタイプのダージーパイだったけど、味はまさに、夜市の味です。結構、夜遅くまでやってるから、気になる人は行ってみてね。ていうか、絶対、ダージーパイは、買ったほうが早いから!!
プロフィール
ほしのしょうこ
25年ほど雑誌・WEBマガジンなどで記事を書き散らしているフリーライター。 副業でWEBデザイナー崩れもしている。趣味は散歩と仕事。重度の放浪癖があり世界を鞄一つで浪漫飛行していた。現在は頑張って日本に定住中。