恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行
路上屋台でバインミー!バイク大国!街歩きが楽しいホーチミン旅
伝統衣装の「アオザイ」やプラスチックのひもを編み込んだ「プラかご」。かわいらしい雑貨やハーブを多用した料理が女子心をくすぐる人気の国ベトナム。
南部にあるホーチミン市を訪れました。商業都市でもあるホーチミン市はビル群の建設や12月にはベトナム初となる地下鉄の開通を予定していて、他の都市に比べると発展しているように見えます。
とはいえ、バイク大国ベトナムを印象付けるバイクの大群がいたり、日よけに最適な笠「ノンラー」を被った露天商が屋台や天秤豪を担いで商売をしていたりと、昔からの光景も残っています。
今回は、そんなベトナム・ホーチミンの日常を、私が滞在時に気になったバイクと屋台をテーマにご紹介しましょう。
バイクで気軽に立ち寄れる屋台料理!テイクアウトにぴったり
よくベトナム旅番組で、「オートバイや車の交通量がすごくて、出演者がなかなか道路を渡れない」という光景を見たことないですか?
事実、本当に渡れません!
というのも、交差点以外の横断歩道が全然ないのです。歩行者用の信号機も少ないから渡るタイミングがわかりません。がんばって渡り始めてみると、車はまだ止まってくれますが、なんとバイクは止まってくれないのです。慣れたものでクネクネと私を避けて通っていきました。怖すぎる!
交通網が未発展のベトナムは、ただ今地下鉄開通工事の真最中。地元の人たちの足はオートバイです。通勤やバイクタクシーでの利用も多いですし、小学生や中学生は保護者が運転するオートバイで登下校するのが日常となっています。
日本の渋谷スクランブル交差点の人波のように、バトナムのオートバイの群れもぶつかりそうでぶつからないドライブテクニックがすごいけれど、地下鉄が開通したらもう少し光景が変わるかしら?
「街を歩けば屋台に当たる」ように、様々な屋台があるので興味津々です。
その中でも、夕方の時間帯になると中学校の正面に屋台が集まってくるのが不思議でした。地元の人に聞いてみると、ターゲットは学校終わりの生徒や先生、生徒を迎えに来た保護者。おやつや軽食を求めて屋台に立ち寄ります。
ベトナムの学校は午前と午後の2部制で、給食がないために、登校時間と下校時間には屋台が集まるそうです。校内にも売店があるようですが、家に帰るまでにおなかがすいてしまいますね。
絶対食べておきたいバインミー!
日本でも専門店が数多くある「バインミー」。ベトナムがフランスの植民地だったことを象徴するフランスパンに野菜や肉などの具材を挟んだサンドウィッチのことです。
朝、街を歩いているとあちらこちらにバインミー屋台があるので、すぐに見つけることができます。飲食店が店頭で屋台を出している場合や屋台が店舗の厨房の役割をしている場合も。小さなスペースで早朝のみ営業する店があるなど様々です。
私が購入したのは牛肉のバインミー(約100円)。炭火で焼いた牛肉に甘辛いタレが絡んでいます。パンの表面がカリッとしていて、具材が入っていても水分でフニャッとならなかったし、日本のバインミー(パン)より軽めの食感で最高においしかったです。
屋台の脇には座高の低いカラフルな色の椅子やテーブルが設置されているので、路上でカフェ気分が体験できます。ベトナム定番の練乳入りミルクコーヒー(カフェ・スア)と一緒に食べればローカルの朝食完成です。
一方、こちらは一瞬店舗かなと思いきや、よく見ると屋台の後ろはビニールテントを張った通路でした。洗い場や冷蔵庫もある充実した設備で、青空食堂のような感じですね。
屋台の良いところは、料理や材料が見えることではないでしょうか。こちらは数種類のおかずとごはんを提供する店で、ベトナム版海南チキンライスの「コム・ガー」(180円)をいただきました。ホーチミンで食べたコム・ガーは炭火で調理した焼き鳥タイプで、油のギトギト感もないのでさっぱり。チリシースをつけてさらにおいしく食べられます。
他にも街中には……。
フルーツ盛りだくさんのジュース屋台。南国らしさがありますね。フルーツは甘みが強く程よい酸味があるので、ジュースにしてもとてもおいしいです。
屋台すらない、テーブルを置いただけのホットサンド屋さんもありました。路上ですが、ちゃんとホットサンドプレスを使って焼いていましたよ。次から次へとお客さんがやってくる人気店のようです。
路上だけでも充分におなかを満たしてくれるベトナムの屋台文化、楽しいですね。
そういえば、一度だけオートバイ同士の接触事故を目撃しましたが、お互い連絡先のような紙を渡して、あっという間に別れていきました。警察を呼ばないなんてびっくり!
いろいろと刺激のあるホーチミン旅でした。物価高とはいえ、まだその振り幅は小さいので、ぜひ機会があったら行ってみてくださいね。
プロフィール
伊能すみ子
アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。