エッセイ

恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行

夏に食べたい!東南アジアの海南チキンライス4選

暦の上では夏!気温が上昇して一気に夏モードに突入という感じですね。
今年は特に気兼ねなく行動ができるようになって、開放された気分を存分に味わっている人も多いのではないでしょうか。

夏が近づいてくると、南国の味が恋しくなってきませんか?
そこで今回は、東南アジアの料理である「海南チキンライス」のおすすめを東京、大阪、京都でピックアップしてみました。

茹でた鶏肉とその茹で汁で炊いたごはんである海南チキンライスは、シンプルな料理ですが、唐辛子のチリソースや生姜のソースで好みの味に調整できるので、辛さが苦手な人にもおすすめ。さっぱりとした食べやすい味なので、暑い季節でもぴったりです。

シンガポールとタイの海南チキンライスで旅気分しましょう。

【大阪】難波の名店「梁亜楼」

店頭には、シンガポールのシンボルであるマーライオン像がお出迎えする、2012年オープンの「梁亜楼(リャンアロウ)」。

マレーシア出身のシェフが作り出す料理は、マレーシア、シンガポールで共通する名物料理ばかり。店の厨房には大きな窯があり、広東式のチャーシューやカリカリの皮が特徴のクリスピーローストポークは店の名物です。

同店の海南チキンライスは、丸鶏で仕上げていて、艶々の白肌鶏肉でとても美しい仕上がりに。丸鶏のまま火を通すので肉が縮みにくく、ハリのある仕上がりになります。

丸鶏なので部位によって火の入り具合が変わりますが、これが絶妙な加減なんです。皮と身の間にゼラチンの煮凝りができて、これも上手な仕上がりの証拠。プルンとした皮としっとりとした肉質がたまりません。鶏肉には、醤油タレがかかっていて、そのままでもおいしく食べられますが、生姜のソースと唐辛子のソースをちょこんとつけて食べると味に変化がでて、よりごはんがすすみますよ。

お料理は全体的にボリューミーなので、お腹いっぱい満足感満載の名店です。

  • 梁亜楼
    大阪府大阪市中央区難波千日前13-6 第4ビル2F
    06-6631-7979
    11:00~14:30、17:00~22:00 
    月・火休み
    ホームページ

【京都】鴨川を眺めながらタイ料理「佛沙羅館」

日本国内の観光地で“エスニック料理を食べる”という選択はあまりないかもしれません。しかし、“京町屋でタイ料理を食べる”というとどうでしょう。京都ならではの体験ができると期待しちゃいますよね。さらに、目の前は鴨川という絶好ビューなので、佛沙羅館(ブッサラカン)に行ったら後悔しませんよ。

海南チキンライスは、タイ語で「カオマンガイ」。同じように見えるシンガポールとタイの海南チキンライスですが、ソースに違いがあります。さらに日本だと、鶏肉の仕上がりに違いも。シンガポールが低温調理で「しっとり」と仕上げていることに対して、タイは鶏肉に「しっかり」火を通して仕上げている店が多いように個人的に感じています。

味噌の役割のあるタオチオソースに醤油や唐辛子、生姜が入ったタレは、私が知っているタレよりも全体的に優しい味に感じます。というのも、京都は舞妓さんが仕事前に食べられるように、ニンニクや唐辛子など刺激のある食材を省いたりして、料理を作る習慣があります。これは、「京中華」と呼ばれる京都の中華料理独特のものなのですが、タイ料理も応用しているというわけです。

さっぱりとした鶏肉がタレと相まって、食べやすさが印象的です。お座敷で食べる海南チキンライスは格別ですよ。他にも食欲をそそられるメニューが多く、タイ人シェフが腕を振るっています。

  • 佛沙羅館
    京都府京都市下京区木屋町通松原上ル美濃屋町173-1
    075-361-4535
    11:30~15:00(料理L.O. 14:30 ドリンクL.O. 14:30)、17:00~22:30(料理L.O. 21:30 ドリンクL.O. 21:30)
    水休み
    ホームページ

【東京】シンガポール気分になれる「シンファン ザ オーセンティック シンガポール クイジーン」

シンガポールの街を歩いていると、至る所でコロニアル調の白亜の建物をよくみます。南国ならではの雰囲気があるのですが、そんな素敵な雰囲気の佇まいの店が東京・三軒茶屋にある「シンファン ザ オーセンティック シンガポール クイジーン」です。

2023年1月にオープンしたばかりの同店のメニューは、シンガポールで多用されているスパイスやハーブ、ココナッツなどをうまく調和させて、現地の味にアレンジを加えています。

同店の海南チキンライスは、高級レストランで食べるような品があり、鶏肉の肉質も抜群で、現地の味を知っている人が食べたらびっくりするだろうクオリティの高いものです。ふんわりとしたごはんの炊き具合と柔らかな肉質がとてもマッチしています。3種のソース(生姜、チリ、中国黒醤油)をかけて食べればさらにシンガポールの味を身近に感じられます。

シェフは長年シンガポールで和食店の勤務経験があり、スタッフの方もシンガポールの飲食店経験者。ジャンルは違っていても、現地の味を良く知る人の作るシンガポール料理は、思わずシンガポールへ旅しているような楽しい気分になれる味です。

  • シンファン ザ オーセンティック シンガポール クイジーン
    東京都世田谷区太子堂4-27-6
    03-6453-1984
    11:30~15:00(14:00L.O)、17:30~22:30(21:30L.O)
    木休み
    ホームページ

【東京】現地よりもリアルなタイ屋台「タイごはん泉州屋台」

タイにある屋台をそのまま日本に持ってきたような佇まいの「タイごはん泉州屋台」は、11時の開店前から行列する人気タイ料理店です。

ステンレスのテーブル、カラフルなプラスチック製のイス、タイ料理のおかずをずらりと揃えた“屋台式”カウンター。タイの街に普通にある光景を知る人ならばテンション上がること間違いなしです。

数量限定のカオマンガイを食べるには、開店前に並ぶのが必須。開店後1時間もすれば売り切れになってしまうので、並んでいる間もドキドキです。

丸鶏からカットされた鶏肉は、ガツガツ食べたくなるおいしさです。醤油や生姜に加えて、唐辛子の辛みがしっかりと感じられるタレに、鶏肉の肉質、しっかり固めに炊かれたごはん、見事なハーモニーです。

注文を一人ひとり聞いて、盛り付けして提供なので、どうしても行列が長くなってしまいますが、オフィスワーカーのテイクアウトも多いので、着席は比較的スムーズ。“THE タイ屋台”なインテリアも楽しみましょう。

  • タイごはん 泉州屋台
    東京都港区芝公園2-2-10
    03-3434-8180
    月-金11;00~14:00、金18:00~22:00(夜予約制)
    土、日、祝休み
    ホームページ

「旅先でチキンライス?」と思うかもしれませんが、地域それぞれの特徴があったり、シェフの想いがあったりするので、ぜひ試してみてくださいね。

プロフィール

伊能すみ子

アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。

写真
このシリーズの一覧へ
エッセイをすべて見る
47PRとは
47PRサービス内容