エッセイ

台所から旬だより

できることから始めよう!食養生で防災対策

はじめに、台風19号による被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。

前回のエッセイに「2019年は洪水、豪雨や暴風雨などの水害、地震や雪崩などの自然災害が多い年……。」と書きましたが、こんなにも大きな被害をもたらす自然災害の多さには本当に胸が痛みます。

今回大きな被害がなかった地域の方でも、災害大国といわれる日本に住んでいる限り、決して他人事ではありませんし、いつ、どこで、どんな被害にあうかはわかりません。 前回のエッセイでは、「ローリングストック法」や「心を安定させる食べ物」について書きましたが、今回は不測の事態に対応するための体作りについて、薬膳でできることをお伝えしますね。

薬膳では、私達の体は「気・血・水・津液(しんえき)」というもので構成されていて、これらの4つの要素が互いに影響し、生命活動を維持していると考えます。その中でも「気」は、目に見えるものではありませんがすべての基本であり、生命エネルギーそのものです。

私達の体の中に存在する「気」は「元気(げんき)・宗気(そうき)・営気(えいき)・衛気(えき)」の4種類に分類され、それぞれ大事な役割があるのですが、今回お伝えしたいのは「衛気(えき)」というもの。

衛気は、まるでバリアのように私達の体の表面を保護し、気候や気圧の変化による病因、ウィルスや細菌などの「外邪(がいじゃ)」の侵入を防いだり、体温を維持したり、体を温めたりします。つまり、この衛気を強くすれば、風邪をひきにくい体になったり、冷え性を改善したりもできるんです。

では、いったいどんなものを食べれば衛気を強くすることができるのでしょうか?

それは、米や小麦やそばなど穀類、山芋や長芋などイモ類、大豆や大豆製品、きのこ類、生姜やねぎなど香味野菜、かぼちゃや人参やブロッコリーなど緑黄色野菜、かつお、鶏肉など。

どれも普段の食事でよく食べているものですよね?

でも、食べ方にコツがあるんです!生のままサラダとか、揚げ物とかでなく、おかゆにしたり、スープにしたり、蒸したりなど、なるべくゆっくり、じっくり火にかけた料理がいいのです。

「いやいや、そんな時間はない!」という方は、緑黄色野菜も大豆製品もいっぺんにとれる具沢山のお味噌汁はいかがでしょうか?

防災グッズや非常食を備蓄し、災害に備えることはとても大事なことです。でも、それらが使えない場合もありますし、そもそも自宅にいられない場合だってあります。

日本は災害大国にもかかわらず、避難所の整備が進んでいないため避難生活の過酷さは改善されていないように思えます。

床に雑魚寝、不衛生なトイレといった状況により健康管理が難しく、プライバシーが守られない様子には憤りを覚えます。

残念ながら避難所生活の問題点はすぐには変えられませんが、食養生による病気にかかりにくい体づくりという防災対策は今すぐにでも始められます。

災害に負けない体と心づくりのために、薬膳の知恵をいかしてもらえたらとても嬉しいです

プロフィール

高倉知子

薬膳GOHAN主宰 薬膳料理講師/東洋運命学鑑定師。2006年に国際中医師に師事。2008年に中医薬膳営養師の資格を取得。マンツーマン料理レッスン「薬膳GOHAN(旧:楽しく薬膳)」を主宰し、カウンセリングによる薬膳アドバイス、マンツーマン&少人数制の出張レッスン、薬膳料理代行、薬膳イベントやセミナー講師、レシピ提供やエッセイ寄稿など、心と体、暮らしを整えるための薬膳料理講師として 幅広く活動中。 また、陰陽五行説で薬膳とつながっている九星気学を扱う東洋運命学の鑑定師に師事。2014年より九星気学をベースとした東洋運命学のカウンセリングや講座なども行っている。

薬膳GOHAN

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