エッセイ

恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行

国内線の洗礼を受け、食の宝庫北海道の旅

10~20代の頃は、父の仕事の関係で国内を車で旅することが多く、47都道府県の半分以上に立ち寄ったり、滞在したりした記憶があります。しかし、日本以外のアジアを探究するようになってからは、国内を回る機会がほとんどなくなってしまいました。そんな中、友人から北海道・札幌への誘いがあったのです。

国内線の搭乗は遠い記憶、20年ぶりくらいでしょうか!!
実は内心ドキドキだった私。仲間からは「集合は3時間前」、「機内へは靴を脱ぐ」など、真っ赤なウソを叩き込まれても、何が本当で何がジョーダンかも分からないほどでした。

出発当日、保安検査場へと進む際、友人がトイレに行っている間に私は鞄の中に入っているペットボトルの中身を飲み干しました。これはいつもの行動で、国際線は検査前に購入したペットボトルは持ち込めないからです。しかし、あるはずのゴミ箱がない・・・。不思議に思いつつ、検査場から離れた場所にあったゴミ箱へ空のペットボトルを捨てました。戻ってきた友人に「ゴミ箱少ないね」と話した所、大笑い。国内線はペットボトルが持ち込めると言うではないですか。え~これもジョーダンでしょ。

国内線の洗礼を受け、無事に札幌に到着した後は怒涛のごとく食べまくりです。
真っ先に訪れたのは、札幌名物スープカレーの名店「奥芝商店」。ランチ時の店頭には行列ができていました。

エビの出汁が効いた北海道産野菜たっぷりのスープカレーです。店舗限定の巨大ソーセージも存在感ばっちり。エビの香りが鼻孔をくすぐり、ごはんに浸して食べると後からスパイスのエッセンスが口いっぱいに広がります。素揚げした野菜は甘みもあって、一度にたくさんの野菜が食べられるのも札幌スープカレーの魅力です。

北海道は魚介の宝庫でもありますから、ここはしっかりお腹に収めておかなければなりません。市内にはたくさんの寿司屋があって、どこに行こうか迷ってしまいます。
回転寿司のレベルも高い札幌ですが、カウンターでリーズナブルにいただけると噂の「町のすし家 四季花まる」に伺いました。ファミリー層をはじめ、観光客にも人気の行列店です。

周りの方たちの食べている寿司を見ても、普段私が食べている寿司とは比べ物にならないほどのネタの厚みと艶やかさに期待が高まりました。いくつかの旬の素材を選ぶ中で、お気に入りとなったのが“炙り北寄貝”。寿司ネタの中でも貝類はあまり選ばないのですが、スタッフさんからもおすすめされ食べてみることに。思わず踊り出したくなるようなコリッとした心地よい食感に炙りの香ばしさ、貝の甘みも更に増しているように感じます。

実はこの寿司屋はチェーン展開していて、東京にも支店があります。北寄貝の魅力にハマって、東京に帰ってからすぐに丸の内の店舗にお伺いしたのですが、ネタの厚みが違うし、ガスバーナーの焦げた味わいでちょっと残念・・・(たまたまだったかもしれません!)

やはり名物とされるものは現地で味わうことで、素材の良さはもちろん、その土地の空気や雰囲気も、おいしさのひとつとして感じることができるのですね。
他にも昨今、一気に品薄になった北海道産バターや生クリームたっぷりのスイーツも食べ歩きつつ、1泊2日の旅があっという間に終わりました。

アジアの食を愛する者として、国内も満喫しなければ勿体ないと感じる今回の旅でしたが、今度は新幹線で移動しようかな(笑)

プロフィール

伊能すみ子

アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。

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