台所から旬だより
旬を食べるということ
世の中にはありとあらゆる健康法や食養生がありますが、共通認識になってきたなと思うのは「旬のものを食べる」ということ。
薬膳の基本は、自分の体質や体調、目的に合った食材を選んで適切な調理をし、腹八分目を心がけて食べ、季節に沿った生活を送るということですが、その中でもやっぱり「旬のものを食べる」ということを大事にしています。
野菜や果物や魚などがもっともおいしい時期のことを旬といいますが、実はこの旬という言葉も九星気学の基本「十干(じっかん)」からきています。
前回のエッセイにも出てきた「十干」とは、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」という十種の天の気の巡りのことで、「年・月・日」を表すのに使われています。
旬とは、この十干がひと巡りする「十日」という意味で、私たちがふだん何気なく使っている「上旬」「中旬」「下旬」という言葉もここからきています。
そんな旬を表すのにぴったりな食べ物といえば「筍」ではないでしょうか。
竹かんむりに旬と書く筍は、十日しかおいしく食べられず、十日過ぎると竹になるといわれています。
繁殖力が旺盛で生長が早い筍は昔から「精が強い」ともいわれていますが、確かに筍料理を食べる時には「命をいただいている」という思いがこみ上げてきます。
その筍の産地といえば九州地方が有名です。
先日、九州地方で発生した地震の影響で様々な被害が広がる今。
何もしないでいる自分はいけないのではないか、自分にいったい何ができるのだろうかと思い悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
また、このような自然災害が起きた場合、飲み物や食べ物に不自由されている被災地の方々に申し訳ないという思いにとらわれてしまうこともありますよね。
でも、「食べる」ことだって支援につながります。
確かにその場に行かなければできないこともたくさんありますが、義援金を送る、九州地方のアンテナショップで名産品を購入する、ふるさと納税をするなど、今この場でできることだってあります。
「今・ここ」でできることをし、日々の生活を淡々と過ごし、なるべく心身ともに健やかでいることも大事ではないでしょうか。
私も自粛ムードに流されそうになることもありますが、これからも色んな旬の食材を使って、からだによくておいしい薬膳料理を作り続けたいと思っています。
できることはほんの小さなことばかりですが、一日も早い復興を心よりお祈りしております。
プロフィール
高倉知子
薬膳GOHAN主宰 薬膳料理講師/東洋運命学鑑定師。2006年に国際中医師に師事。2008年に中医薬膳営養師の資格を取得。マンツーマン料理レッスン「薬膳GOHAN(旧:楽しく薬膳)」を主宰し、カウンセリングによる薬膳アドバイス、マンツーマン&少人数制の出張レッスン、薬膳料理代行、薬膳イベントやセミナー講師、レシピ提供やエッセイ寄稿など、心と体、暮らしを整えるための薬膳料理講師として 幅広く活動中。 また、陰陽五行説で薬膳とつながっている九星気学を扱う東洋運命学の鑑定師に師事。2014年より九星気学をベースとした東洋運命学のカウンセリングや講座なども行っている。