エッセイ

五感で感じるエッセイ『イン・ラケ'ッチ!』

エアポートでエアジャーニー

ずっと昔の松田聖子のアルバム『SUPREME』に、「時間旅行」という曲があった。空港の出発ロビーで、かつての恋人同士が偶然再会する。彼女の心には彼への想いがまだ残っていて、切ない気持ちを抱えたまま再び別れるという、胸がキュンとする歌だ。

私の実家は京急線沿いにあり、子供の頃から羽田空港が身近な存在だった。しかし、当時は工場地帯の外れにある辺鄙な場所という認識しかなく、行ってみたいとは思わなかった。この「時間旅行」で、羽田空港があこがれの場所に変わった。まだ飛行機に乗った事も空港に行ったこともなかった私にとって、「空港」=「ときめきの場所」となったのだ。

そんなことを思いだして、この連休、羽田空港に遊びに行った。

羽田空港国内線旅客ターミナルは、英国SKYTRAX社が実施する「ワールドエアポートアワード2016年」において、「国内線空港総合評価部門」で4年連続世界第1位を獲得。また、国際線ターミナルと合わせて、「空港の清潔さなどを評価する部門」でも世界第1位となり、堂々2冠に輝いた世界に誇るべき空港である。

まずは、「展望デッキ」へGO!
第一旅客ターミナルの6階で降りると、フロアの両側に展望デッキへの出入口があった。外に出て階段を上り、最上階の「ガリバーズ・デッキ」(屋上)に到着。風がビュンビュン吹いている。
ぐるっと囲まれたフェンスに、たくさんの人が張り付いていた。ほとんどが家族連れである。

しばらくすると、風音に混じってエンジン音が聞こえて来た。
飛行機が離陸態勢に入ったようだ。
フェンス沿いの人たちが、ぐっと身を乗り出す。
機体が近づいてくるにつれ、エンジンの回転音が低音から高音へと変わる。

ウィィィィィィンと、回転音が極まったところで、飛行機はおもむろにフワッと宙に浮いた。その時、

パシャパシャパシャ!

一斉にカメラのシャッター音が鳴った。

(…おお。)

ゴーゴーと風になぶられながら、望遠レンズ付きのカメラで連写している人たちがいる。確かに、間近で見る離陸の瞬間はテンションが上がる。私も真似してスマホを構え、次の飛行機を待った。
暴風で揉みくちゃにされながら、やっと撮れた写真はみごとなピンボケ。でも、楽しい~。

展望台を後にし、吹き抜けのビルの中をエスカレーターで下へ下へと降りて行く。レストラン街やブティックなど、たくさんの店が並び、ここが空港内である事を忘れてしまう。

2階のマーケットプレイスに到着。
広いフロアに東京の名店の美味しいものがひしめいている。まるでデパ地下だ。
あちこちの店先で私を誘う「羽田空港限定」の文字。
さんざん迷って、お菓子を1つ購入したら、「いってらっしゃいませ!」とお店の人ににっこりされた。

ははは。

空を飛ぶ乗り物の発着場。その「非日常感」に旅の気分をちょっぴり味わえた。「エアジャーニー」は想像以上に楽しかった。

でも、やっぱり。次はリアルジャーニーしたいなあ。次の連休は7月か。…遠い。

プロフィール

白川ゆり

CASA DE XUX代表/アロマハンドセラピスト/アロマテラピーアドバイザー
2009年~ マヤの聖地を巡るワールドツアーに参加。パレンケや先住民が住むラカンドン村等、数々のマヤの聖地を訪れる。
また、国内外のマヤの儀式において、火と香りで場と人を浄化する「ファイヤーウーマン」を務める。
2011年~ マヤの伝統的な教えを伝えるワークショップを開催。
マヤカレンダーからインスピレーションを得たオリジナルアロマミストシリーズ「ITSUKI」を制作。

写真
このシリーズの一覧へ
エッセイをすべて見る
47PRとは
47PRサービス内容