エッセイ

五感で感じるエッセイ『イン・ラケ'ッチ!』

スイカって、すごかった…

「旬」の感覚が希薄になってから久しい。
たいていの野菜や果物はほぼ一年中食べられる。
でも、間違いなくこれは夏でしょ!というのが、スイカ!

日本の夏の風物詩、ひまわり、花火、スイカ。
子どもの頃から慣れ親しんだあの赤い実の事を、どのくらい知っているだろうか。
甘くて、水分がたっぷりの果物(分類上は野菜)、くらいにしか思っていなかったスイカは、実は物凄いパワーフードだった。
スイカが最強かつマストな夏の食べ物であるのには、理由(わけ)があった。

かぶりつくとポタポタとこぼれるあの果汁の中に、実に豊かな栄養素が含まれている。
ビタミン類(A、B1、B2、C)、ミネラル類(カルシウム、リン、鉄、カリウムなど)、グルタミン酸やアルギニン、そして、種子にはビタミンB群やE、リノール酸やたんぱく質も豊富に含まれている。
火照った体に、冷えたスイカの果糖やブドウ糖が速やかに吸収され、のどの渇きを癒すとともに、体内に栄養素がバンバン入って来る。
汗で失ったミネラルを補給するのに、天然のスポーツドリンクのような役割を果たすのだ。

さらに、女子に嬉しいこんな栄養素も。
それは、リコピン。
トマトに多く含まれ、お肌の老化を抑える抗酸化作用があると、一時、話題になったが、このリコピンがトマトの1.5倍も含まれているのだ。
そして、特筆すべきはシトルリン。
スイカにはシトルリンがメロンの2倍も含まれている。耳馴染みのないこの栄養素は、血の巡りを良くし、疲労の軽減、手足のむくみの改善が期待できる。

漢方では強壮、止血、のどの痛みなどに効果のある薬として、スイカの種が用いられる。
スイカの果肉を煮詰めて作る「スイカ糖」は、腎臓病や膀胱炎(ぼうこうえん)にもよく効くと言われ、同じ薬効が種や果皮にもある。もう、一個まるごと薬箱みたいだ。

子どもの頃、夏休みに母の実家の山形に遊びに行くと、畑に無造作にごろごろ転がっていた丸いスイカ。まさかこんなに凄い食べ物だったとは。
スイカよ、あなたこそ自然の恵み。宝だ。
大きさから言っても、重さから言っても、他の追従を許さないキングオブフルーツ(ベジタブル)!
食べない理由がない。最強!

ちなみに、スイカの歴史にも少し触れておくと、時を遡ること、およそ4000年前のエジプトの壁画や、日本最古の漫画といわれる、国宝『鳥獣戯画』にも、スイカらしきものが登場しているという。
古今東西、スイカが広く行き渡っていた証だ。

ユーラシア大陸を旅し、中国経由ではるばる日本にやってきたスイカ。
すっかり日本の風景に溶け込み、縁側に並んで、庭に向かってスイカの種飛ばしとか、砂浜でスイカ割りとか、夏の思い出に焼き付いている。ノスタルジーだなあ。
そして、来年こそはそんな日常を取り戻したいなあと、巣ごもりしながら切に願うのである。

(※株式会社萩原農場のHPより引用)

プロフィール

白川ゆり

CASA DE XUX代表/アロマハンドセラピスト/アロマテラピーアドバイザー
2009年~ マヤの聖地を巡るワールドツアーに参加。パレンケや先住民が住むラカンドン村等、数々のマヤの聖地を訪れる。
また、国内外のマヤの儀式において、火と香りで場と人を浄化する「ファイヤーウーマン」を務める。
2011年~ マヤの伝統的な教えを伝えるワークショップを開催。
マヤカレンダーからインスピレーションを得たオリジナルアロマミストシリーズ「ITSUKI」を制作。

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