エッセイ

五感で感じるエッセイ『イン・ラケ'ッチ!』

その日まで

道路脇で、マゼンダ色のツツジが燃えるように咲いている。
初夏の日差しが眩しくて、今年の夏も暑くなりそうな予感を秘めている。

いつもと同じ美しい季節。
でも、いつもと違う今年。

この文章を書いている現在、東京はSTAY HOMEのただ中にある。
大型連休も、じっと耐えた。外に出たくて堪らない。

こんなときは、「想像力という翼」を大きくはためかせて、飛び出そう!
その翼は、あなたをどこへでも連れて行ってくれる。

出発だ!

まずは、日本列島の北、広大な大地と食の宝庫、北海道へ。
数ある名所から選んだのは、「北海道開拓の村」。

道内各地の建造物を移築し、復元・再現した54.2ヘクタールに及ぶ野外博物館である。
さすがは北海道、でっかいどう!

行き交う馬車鉄道に乗り、100年以上前の開拓時代にタイムスリップ。
耳を澄ませば、ほら、カポカポと馬の蹄の音が聞こえてくる(かも知れない)。

未開の土地を切り開き、困難の末に手に入れた新しい土地、新しい生活。先人の勇気と努力に敬意を表する。それは、これからの私たちに少しだけリンクする。

続いて、日本列島の背骨と呼ばれる日本アルプスへ。

富山県と長野県を結ぶ総延長37.2 キロメートル、最大高低差1,975メートルの山岳観光地、「立山黒部アルペンルート」は、富山県側の立山町「立山駅」からスタートし、長野県側の大町「扇沢駅」まで、鉄道・ケーブルカー・バス・ロープウェイ等を乗り継いで行く。

この時期、そこに待っているのは、10メートルにも及ぶ雪の壁と真っ青な空のコントラストが美しい「雪の大谷」。そして、周りの山々が青く澄んだ湖面に映り込み、幻想的な風景を見せる火山湖「みくりが池」。

映画の題材にもなった日本一の高さにある「黒部ダム」。 さらに、3,000メートル級の山々を見渡せる、雲上の楽園「室堂平」(むろどうだいら)だ。

大自然の懐に抱かれて、次々と現れる絶景にドキドキが止まらない。
(たとえ、今、壁に囲まれた狭い部屋に居ようとも)。

次は、十万年の時が築き上げた奇跡、「鳥取砂丘」へ

川と風に運ばれた砂は、気が遠くなるような歳月をかけて、巨大な砂の丘を積み上げた。南北2.4キロメートル、東西16キロメートル、最大高低差90メートル。

観光客が豆粒のように見える。

ここでは、ラクダの背に揺られて散歩したり、砂の上でヨガをしたり、パラグライダーや砂の中を走れるファットバイクを楽しんだり、砂丘ならではの体験ができる。
(たとえ、今、家の中でじっとしていようとも)

想像力の翼をたたむ。我に返る。

…本当の旅は、生身の肉体を使い、五感を使い、「いまここ」を堪能するためにある。その美しい景色はどんな音を奏でるのか、どんな風が吹いているのか、どんな香りが漂ってくるのか。

日本に住んでいても、知らないことばかりだ。

もっと見たい。
もっと体験したい。
味わいたい。

いつも当たり前にあった、仕事帰りにふらっと立ち寄る店が、どれほどかけがえのない場所だったのか。

失ってみて、初めてわかる。

でも、永遠に失ったわけではない。
出口は見え始めている。

コロナは、私たちにたくさんの気づきを与えてくれた。

今、この瞬間、闘ってくださっている医療従事者の皆様、ありがとうございます。
スーパー、コンビニ、ドラッグストアの従業員の皆様、物流関係の皆様、ありがとうございます。

今、世界は感謝で溢れている。

およそ100年ごとに繰り返されるというウイルスとの闘い。
そのたびに、人々は大きな変革を迫られてきた。
アフターコロナの時代、どんな未来が訪れるのか、その日をワクワクして待とう。

そして、来年は、リアルな旅をしまくろう!その日まで!

*本文中の施設などは現在休業中です。

プロフィール

白川ゆり

CASA DE XUX代表/アロマハンドセラピスト/アロマテラピーアドバイザー
2009年~ マヤの聖地を巡るワールドツアーに参加。パレンケや先住民が住むラカンドン村等、数々のマヤの聖地を訪れる。
また、国内外のマヤの儀式において、火と香りで場と人を浄化する「ファイヤーウーマン」を務める。
2011年~ マヤの伝統的な教えを伝えるワークショップを開催。
マヤカレンダーからインスピレーションを得たオリジナルアロマミストシリーズ「ITSUKI」を制作。

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