エッセイ

五感で感じるエッセイ『イン・ラケ'ッチ!』

その、甘く愛しいモノ

日本の2月を語る上で外せない一大イベント、 “バレンタインデー”。もはや、国民的行事である。この時期、チョコレート専門店をはじめ、デパ地下やイベント会場は、世界の有名パティシエの粋を極めたチョコレートでキラキラと彩られる。 いまや、”バレンタインデー”は愛の告白の日というより、チョコレートを通して、日頃の感謝を伝えたり、親睦を深めたり、あるいは自分へのご褒美にしたり、みんなで美味しいチョコレートを愛でる日となった。 そんな、愛すべきチョコレートが、簡単に手に入るようになるまで、長い年月とたくさんの人々の多大な努力が必要だった。

チョコレートの歴史は古く、紀元前1500年頃にまで遡る。主に中央アメリカでカカオが栽培され、当時、チョコレートはトウガラシなどの調味料を入れて飲む、飲み物であり薬だった。 マヤやアステカではカカオが貨幣代わりに利用されたり、税金として納められていたこともあった。 中央アメリカがスペイン人に侵略されたのをきっかけに、カカオはヨーロッパに伝えられ、長い間、王侯貴族や富裕層の贅沢品として飲まれた。 その後、ヨーロッパ諸国で開発が進み、飲み物から固形のチョコレートとなり、19世紀後半になって、ようやく一般市民の手の届くお菓子となったのだ。

最近では、ポリフェノールを多く含むチョコレートが、心臓病や高血圧や動脈硬化防止に効果があるとされ、注目されている。また、チョコレートにはたんぱく質やカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄などのミネラルも豊富に含まれていて栄養価も高い。

お菓子なのに、体にもいいとは、なんて奴なんだ、チョコレートよ。

さらに、チョコレートが発酵食品だということをご存知だろうか。チョコレートは、カカオの中から取り出した白い種子を、バナナの葉に包んで木箱に入れ、一週間ほど発酵させる。その後、天日干しでカラカラに乾かし、各国へと出荷される。栄養をぎゅっと詰めたまま、長い旅路の後、それぞれの国で焙煎、粉砕、加熱などの工程を経て、チョコレートとなる。

つい先頃、「第4のチョコレート」と呼ばれる「ルビーチョコレート」が発表され話題になった。「ルビーチョコレート」は、一見、ストロベリーチョコレートのように見えるが、フルーティーな味とともに、その美しいピンク色は、ルビーカカオ豆に自然に備わっている味と色だというから驚きである。 ビター、ミルク、に続き、「第3のチョコレート」と呼ばれたホワイトチョコレートが発表されたのが80年前。今、チョコレートの新時代の幕開けである。

はるか昔から人類をその深い味わいで虜にしてきたというのに、まだ進化を続けるのか。 知れば知るほど、チョコレートって、すごい! 仕事で疲れた時、何気なく口に入れた一粒のチョコレートで元気になった経験がある人、きっと多いと思う。濃厚な甘さも深い苦さもチョコレートの魅力。

小さな一粒に、愛とエネルギーが詰まっているのだ。 この一粒ができるまで、ここに来るまでの道のりを思い描きながら、今日もパクッとチョコレートを口に入れる。 チョコレートで愛を知る。

なんだかんだ理屈は抜きにして、神様、おいしいチョコレートをありがとう。

*参考サイト:日本チョコレート・ココア協会 チョコレート・ココア大辞典「世界の歴史」

プロフィール

白川ゆり

CASA DE XUX代表/アロマハンドセラピスト/アロマテラピーアドバイザー
2009年~ マヤの聖地を巡るワールドツアーに参加。パレンケや先住民が住むラカンドン村等、数々のマヤの聖地を訪れる。
また、国内外のマヤの儀式において、火と香りで場と人を浄化する「ファイヤーウーマン」を務める。
2011年~ マヤの伝統的な教えを伝えるワークショップを開催。
マヤカレンダーからインスピレーションを得たオリジナルアロマミストシリーズ「ITSUKI」を制作。

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