エッセイ

恋しいアジア!お腹もまんぷく美味しい食紀行

まるで東南アジア!大人も楽しめる「熱帯環境植物館」で“ニモ”にも会える

暦の上では秋になっているのに、今年の夏は終わりの見えない暑い日が続いていますね。
7月のことですが、私が協力をした東南アジアのスイーツの特集が東京・板橋区にある植物園に展示されていました。

この施設は、家族連れや子供の姿も多くみられ、水槽や木々が生い茂る熱帯エリアの空間を存分に楽しめる場所だったのです。東南アジアでよく見ていた植物や水槽に泳ぐ魚たちのきれいなこと!

子供だけでなく、大人も十分に楽しめる熱帯気分満喫の施設をご紹介しましょう。

カラフルな魚に癒され、森林浴も体験

訪れたのは、東京・板橋区にある「熱帯環境植物館」。1994年に開業した東南アジアの熱帯雨林を再現した施設です。ミニ水族館エリアと森林エリアがあり、それぞれがさらに細かいゾーンに分かれています。

入場してから順路である地下1階へ降りて、すぐ目に飛び込んできたのがこちら!

天井を突き抜けるくらいにそびえ立っているのは、マレーシアの「ネジレフサマメノキ」です。これは、地表近くの根から幹にかけての部分が成長して、壁のようになる構造である“板根(ばんこん)”の部分。入ってすぐに、かなりインパクトのある板根をみて、この後の期待が高まりました。

すぐ隣はミニ水族館エリアになっていて、東南アジアを中心に生息する海水や汽水、淡水の魚や生物が約150種2500匹も展示されています。

水槽を覗いてみると、熱帯系のカラフルな魚がたくさんいます。10㎝前後の小さな魚がいたかと思えば、「チンアナゴ」も発見。さらに、1m近くあるような青緑色の別名「ナポレオンフィッシュ」と呼ばれている「メガネモチノウオ」までいました。

まわりにいた子供たちもはしゃいていて、「カクレクマノミ」を見つけると、今でも「ニモだ~!」と、子供だけでなく、大人も喜んじゃいますね。中には、東南アジアのメコン川などに生息する、世界最大級の淡水エイである「ヒマンチュラ・チャオプラヤ」もいて、子供たちよりも大きなエイに驚いていました。

続いては上の階へ。こちらは森林エリアになっていて、潮間帯ゾーン、熱帯低地林ゾーン、集落景観ゾーン、雲霧林ゾーンの4つに分かれています。マングローブやヤシが生い茂り、約700種2000本の植物が展示されています。

水族館エリアは、冷房の効いた見た目にも涼しげな場所でしたが、こちらは変わって、湿気を感じる少し蒸しっとした空気に包まれています。といはいえ、まわりは緑ばかりなので、心地良く森林浴を楽しめます。

食に関係する植物も多く、香り高い西洋の「バニラ」の木があるかと思えば、“東洋のバニラ”といわれる「パンダンリーフ」もありました。これらは、鞘からバニラビーンズを削いだり、パンダンの葉を加工したりして、スイーツやハーブティーにしたりする植物です。

順路の途中には、マレーシアで見かけるニッパヤシの葉で屋根を葺いた建物があって、現地の雰囲気を楽しめます。また、木のそばには実際の実を展示していたり、QRコードで植物の解説が見れたりするので分かりやすいでしょう。

植物によっては、季節によって実が成ったり、時間帯で咲く花もあったりするので、来館のタイミングで見る景色が変わってくるのもおもしろいですね。

時間配分を考えないといつまでも見て回ってしまうのですが、お腹がすいたと思ったら館内にある喫茶店にいってみましょう。

「カフェ クレア」は土日祝のみに営業しているカフェです。
ナシゴレンやパッタイといった東南アジアの名物料理やパンケーキ、アイスクリームなど、約30種類ものメニューが揃っています。

中でもおすすめがカレーです。

「サマリンダカレー」(800円/左)は、インドネシア・ボルネオ島にある最大の都市名を付けたカレーです。辛さはありますが、それ以上にフルーツを使用した甘味や酸味の方が印象的で、濃厚なカレーソースで、比較的小さなお子さんでも食べやすいビーフカレーです。

「マレーシア風チキンカレー」(800円/右)は、ネーミングの通りマレーシアをイメージしたカレーです。ココナッツミルクの風味が豊かで、さらりとしたカレーソースとなっています。辛さはメニューの中でも一番辛い物なので、唐辛子の辛さがOKな人はぜひトライしてみてくださいね。

ドリンクには、東南アジアのタイで多用されている「バタフライピー」の花のエキスを使ったハーブティーがいただけます。とても鮮やかな青紫色をしていますが、レモンなどの酸を加えることでピンク色に変化するので、まるで科学研究をしているように楽しいです。

展示コーナーには、すでに展示期間は終了しましたが、私がおすすめするシンガポールのスイーツの写真が展示されていました。

他にも常設として、東南アジアの歩みや気候の解説、昆虫解説といった展示もあって、夏休みの自由研究の題材にと訪れた小学生で賑わっていたのが印象的でした。海外へ行かなくても東南アジアの気分を体感することができるので、機会があったら足を運んでみてくださいね。

プロフィール

伊能すみ子

アジアンフードディレクター/1級フードアナリストアジア料理を得意とし、旅をしながら食の楽しさを探究。メディアを中心にアジア食品の提案、店舗リサーチ、食文化コラム執筆など幅広く活動。また、ごはん比較探求ユニット「アジアごはんズ」では、シンガポール担当として、東南アジア4カ国の食べ比べイベントを不定期で開催している。

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