エッセイ

旅は私の宝箱

岐阜県 癒しのおもてなし

10年以上愛知に住んでいた私は日帰りでよく岐阜に出かけていました。世界遺産の白川郷、飛騨高山、郡上八幡等観光スポットの多い土地です。それらの中でもいたく気にいった場所をご紹介します。

まずは馬籠宿。車で出掛けたのですが馬籠宿の駐車場に着き、車外に出た時の感動は今も忘れられません。山々に囲まれた高地の空気に包み込まれたのです。心も身体も洗われるような感覚を覚えました。トイレの空気も澄んでいるのです。この地が宿場町になった事が理解できました。

山奥の街道を重い荷物を背負いながらてくてく歩いた江戸時代の人々。やっとたどり着いたこの地で何よりのごちそうのこの空気を身体中に吸い込んで、長旅の疲れを癒したことでしょう。私自身、空気によってこんなに元気になれることをはじめて実感しました。

すっかり足どりが軽くなり馬籠宿の石畳を歩きました。準備が悪くサンダルで来てしまった事を後悔していると、江戸時代は草履履きだったことを思い出し、自分のうっかりのおかげでその時代に近づけたような気持ちになりました。さほど広くない宿場町ですが、おいしい空気のおかげか? あるいはサンダル履きのなせる業か? 江戸時代にタイムスリップしたような時間を過ごせました。

おいしい空気を好むのは人間だけでは無いようです。車を運転していた夫が、「空気が薄いんだな。普段よりもアクセルを踏込まなければいけない」と言うのです。助手席で私は、車にも空気の良さがわかるのね。だからいっぱい吸い込みたいのねと1人納得。そして帰途に着きました。この澄みきった空気のパワーは数日体内に残りました。身体が軽いというかやる気が出るのです。それが私には何よりのお土産の小旅行でした。

もう1つのおすすめは平湯温泉です。飛騨高山の山間にあり、お湯には湯の花と呼ばれる白い糸くずのような物が温泉に浮かんでいます。このお湯の良さは言葉では表現しづらいです。ぜひ体感して下さいとしか申し上げられません。知人が遊びに来た時のこと、温泉好きのその方と愛知周辺の温泉談議をしていました。「この前平湯にいったのだけれど…」と私が言うと、「平湯に行った。行ったのかぁ」と彼は感慨深そうにおっしゃいました。何事にも辛口な彼のこの言葉。これをほめ言葉ととる私は早計なのでしょうか?

このように自然のおもてなしをしてくれる岐阜。世界遺産有り、おいしい空気あり、名湯あり、お酒もおいしく、アウトレットモールもあります。もし自分がクタクタに疲れたら、またあの空気を身体一杯に吸いに行こう。そしてあの温泉につかり心身の汚れを落そう。その後は、ほうば焼きをつつきながらおいしいお酒を頂こう。岐阜は、クタクタに疲れずとも行きたくなる場所です。

プロフィール

古野直子

横浜生まれ横浜育ち。結婚後10年以上夫の転勤で愛知県豊田市に居住。2011年に横浜に戻る。趣味は旅行。これまでの旅で印象深いのは、岡山の大原美術館、海外ではスペイン、ロシア。

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