エッセイ

47都道府県 イラストで名所巡り♪

千葉県「銚子市犬吠埼」夏

31回目は千葉県の銚子市の犬吠埼を描きました。

千葉県には沢山の名所があります。私も色々と巡りました。
成田山新勝寺 、九十九里浜 、鋸山 、香取神社 、養老渓谷などなど。。。
色々描きたい場所があり、どこを描くか迷いました。

夏、そして海…今回は20年ぐらい前に訪れた銚子市の犬吠埼にしました。

犬吠埼は関東平野の最東端に位置し、太平洋が目の前に広がる岬です。
そこにある美しい白い「犬吠埼灯台」は世界灯台100選にも選ばれています。
明治7年にイギリス人リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計により建てられました。
私はこの灯台の中には入りませんでしたが、99段の螺旋階段を登ると雄大で素晴らしい景色が見られるそうです。
犬吠埼の岬も灯台も美しく絵になる場所でした。

犬吠埼へ行ったのは、突然でした。友達とリフレッシュにどこかドライブに行こうという話になり、「千葉の一番先、犬吠埼まで行きお寿司を食べて帰ろう!」と突然決まりました。
詳しい前情報の無いまま、自由気ままなドライブでした。
お昼過ぎに銚子に着き、遅いランチで新鮮なお寿司を食べました。

お腹が満たされた後、犬吠埼の灯台が見えるところまで行き、目の前に広がる海原をただ、ぼんやり眺めました。
太平洋の先には地平線が続き、その先を見ようと目を凝らしても海が広がるばかりで、先に何があるのかは見えませんでした。
美しい景色を見ている内に、自分がこの世の中で何て小さな存在なんだと、思えてきました。

その頃はイラストレーターとして独立したばかりで、「自分はこれからやっていけるだろうか」「仕事がなくなってしまわないか」など不安と悩みの連続でした。そんな自分が不安定な時期に見た犬吠埼の景色は広く、雄大で、私の心の不安を一気に浄化してくれるような感動的な景色でした。

徐々に日が落ちかけ、私たちは車に乗り、帰ることにしました。
帰り際に車の窓から灯台の明かりが見え、私たちに「さよなら」を言うかのように明るく海を照らしていました。

このエッセイを描きながら、一緒に行った友達のことを思い出しました。
友達は今では3人の子供がいるママで、あの頃のように気楽に会うことは出来なくなってしまいましたが。
子育てが落ち着いたら、また一緒に自由気ままなドライブに行けたらいいな…。
その時はまた犬吠埼へ行き、美味しい寿司を食べあの景色を見ながら思い出話に花を咲かせたいです。

プロフィール

本山浩子

東京都出身 イラストレーター 人物のハッピーでキャッチーなタッチと風景の和む優しいドラマを感じるタッチで出版・広告等で、大人から子供向けまで幅広い世代に愛されるイラストを手掛ける。2013年に読売新聞夕刊で毎週「本山浩子の駅前とことこ」で散歩イラストエッセイも連載。
47エッセイでは旅に出たくなるような47都道府県の名所のイラストを楽しく描き綴る。
MH-Alegria

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