エッセイ

いいことも悪いことも

雪の中で

先日、東京にかなりの雪がふった。
こんなに東京でふるのは数十年ぶりだとテレビで騒いでいた。

若いころ、私は富山に住んでいたことがあり、雪国での生活を、身をもって体感した。雪が降るときは空が黒く曇り始め、急激に気温と気圧が下がり始める。そのうち、雪がふりだし、だんだん大粒になっていく、30分も経つと道路の色が黒から白に変わり始める。2時間3時間たつと屋根や車の上に雪が高くつもっていく。
富山で暮らす前は一晩で1メートルなんてつもることなんてありえないと高をくくっていた。あれはテレビやニュースが大げさにいっているんだと。実際は、夜が明けると窓の外の風景が前日と別物になっていた。車は雪の下にうまり、あらゆるものを雪が隠していた。私はあっけにとられて「たいしたもんだな~」と窓の外をしばらくみていたのを思い出す。
しばらくすると、寮にすんでいる皆で雪かきをし、玄関や道路の雪を除雪していく。富山にかぎらないが除雪用の水路が道路わきにひいてあり、そこに次々と雪をいれていく。大きな黄色い除雪車が市道の雪を除雪してく。通った後は道路の右側に雪の山ができている。
こんな日が12月から3月まで続いていく。この期間太陽がでることはあまりなく、なんとなく気分も沈みがちになってしまう。病は気からとよくいったもので、私自身も風邪をひいたり、目にばい菌が入り1時間以上も離れた大学病院まで雪の中を片目運転で、車ででかけたのを思い出す。知人には意外に思われるが身体が弱いんだな。

東京は富山と違い、雪を除雪する設備や機能がなく、10センチも積もっただけで大騒ぎになってしまう。東京に雪のふった日、昼過ぎと夕方マンションの周りを雪かきした。近所の人も雪かきをしている。大抵は男性だ。普段は顔を合わせないもの同士だが、「ずいぶんふりましたね」なんて会話をしながらお互い作業をやっていく。悪くない。30分もするととりあえず一段落する、まずまずだ。ニット帽のおじさんが軍手をしたまますっていたタバコがおいしそうに見えた。吸っちゃおうかな~

プロフィール

鵜飼臣人

昭和47年生まれ 
大学卒業後、メーカー・TV局勤務等を経て平成20年12月、株式会社スタジオ飛翔創設。
平成25年5月より『47PR』を運営。

写真
このシリーズの一覧へ
エッセイをすべて見る
47PRとは
47PRサービス内容